犯人が”三億円”と対面した場所とは 三億円事件の五十年 vol 6

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ジェラルミンケースに付着していた泥から、
犯人のアジトは国分寺市恋ヶ窪周辺であると、
徹底したローラー作戦が展開されたが、
警察はその後アジトに関する情報を取り消した。
鑑定の結果、付着していた泥は「東恋ヶ窪3丁目」
にあった「栗林」のものと土質が一致するという、
突拍子もない「根拠」による誤った捜査であった。
「土質鑑定」によって「同質の泥」と認められたなら、
他の場所にはその「同質の泥」が存在しないことを、
完全に立証しない限り、「根拠」とはなり得ない。

3億円事件

犯行に使われた偽白バイ
ヤマハの工場に展示されていたこともある

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振り回された警察と国民

子供でも分かりそうな理屈で、組織と世間が振り回された。
警察の焦りが見て取れるような話である。
推理によれば、犯人は第二現場から多摩五郎でそこまで移動し、
人気のないその栗林で現金を抜き出した、という説である。
すると犯人は現金か、多摩五郎のどちらかを暫く栗林に放置したことになる。
常識で考えて現金をそのままにするはずはない、多摩五郎にジェラルミンケースを積んで、
現金はバッグかなにかに詰めて、徒歩でアジトに持ち帰ったのだろう。
だからアジトは恋ヶ窪周辺である、ということにもなりそうだが、
人力で運ぶには大荷物である、だったら初めから多摩五郎でアジトに乗り付け、
人目につかぬようにケースごとアジト内に運び込む方が、かかる時間もリスクも少ない筈だ。
事件の第一報が伝えられたのは、当日の昼近くになってからである、
しかも車の車種やその他の詳細については、もっと後になってからであった。
犯人は多摩五郎の中でラジオを聴いていただろうし、
情報はまだ出回っていないことは判っていたはずだ。

3億円事件

TOHAウェブサイトより
これがER-303”トラメガ”

東亜特殊電機製 ER-303という製品、学校などで使用される拡声器である。
トランジスタメガホンとも呼ばれ、偽白バイに装着してサイレンを鳴らし、
現金輸送車を停止させるためには絶対に必要なアイテムである。
この「トラメガ」こそが、犯人のアジトを推定するための根拠足り得ると、私は思っている。
犯行の半年くらい前に、西武多摩川線「多磨墓地前」駅(現多磨駅)近くの踏切から盗難されている。
踏切にトラメガ在り、よく思いついたものである。
しかも、現場は「多磨農協」に程近く、当時脅迫騒ぎが起きていた界隈でもある。
西武鉄道では、過去に踏切からトラメガが盗まれたなどという経験は無く、
訝しいにも程がある事件であったらしい。
しかし、犯人の誤算がここにあった。
踏切に使用されているトラメガは、
入力電圧の関係でバイクや車に装着しても使えないことが判ったのである。
そこで犯人は止むなく、東村山市の工事現場から別のトラメガを盗み出した。
それが実際に犯行に使用されたトラメガである。
踏切は警報音を鳴らすために必ず「トラメガ」が設置されている、そして踏切ならどこにでもある。
一方工事現場はどうだろう? どのような工事現場かは知らないが、
トラメガは果たして「付き物」と云えるだろうか?
たまたま設置されていたのだろうが、なぜ犯人はそれを知っていたのか?
当初は踏切から調達するつもりであったトラメガ、それが意に反して使用不可と分かった。
きっと焦ったに違いない、犯行計画では欠くことの出来ない最も重要な「部品」である。
一刻も早く代替えを捜さなくてはならないが、そう簡単に見つかる物でもあるまい。
盗難された工事現場は「数ある候補地」から選ばれたのではなく、唯一の調達先だったはずである。
一方で、西武多摩川線の踏切は「数ある候補地」から選ばれた場所である。
そこからアジトを嗅ぎつけられる心配のない場所だからである。

3億円事件

西武線踏切に設置されている”トラメガ”
写真は西武拝島線踏切

同様に、犯人はバイクを改造したり、試験走行するに当たっては、
「嗅ぎつけられない場所」を選んでいる。
盗んだバイクに白のペイントを塗るには、ガレージなどの人目につかない場所が必要だ。
しかしそのような家に住まえるような身分ではなかった。
よって彼は八王子市内の浅川に架かる中央高速橋桁の下で、これらの作業を行ったようだ。
もちろん目撃情報によるが、
屋外である以上人に見られずに済む道理もないことは、犯人が一番よく知っている。
よって、目撃情報が集中している地域は、「アジトとはかけ離れた地域」とみるべきである。
唯一の例外が「トラメガ盗難現場」である、もうそこしか残っていなかったはずだ。

3億円事件

京王バス府中営業所路線図より
犯人の動線にあたるバス路線は「寺91」系統

3億円事件

京王バス小金井営業所路線図より
小金井本町団地へは「武31」系統

”御対面”は東村山!?

犯人のアジトは「東村山周辺」というのが私の持論である。
犯行現場とトラメガ盗難現場、そしてブリヂストン小平社宅からもスカイラインが1台盗まれている。
この3点を結ぶ線が「府中街道」である、目立たないが「線」を描くことが出来る。
彼にとって府中街道は生活動線だったのではなかろうか?
仮に彼の勤務先が府中のタクシー営業所だったとしたら、彼は西武国分寺線と京王バスを利用して、
「国分寺街道」を通って通勤していたことになる。
車やバイクでの通勤なら、やはり府中街道や国分寺街道が動線になるだろう。
彼にとって「勝手知りたる我が家」である。
因みに武蔵小金井駅北口から出るバスは、殆どが西武バスか関東バスである。
しかし「小金井本町団地」とを結ぶ路線は京王バスである。
勤務先から支給される1枚のパスカードで、全ての路線に乗車できるのではないだろうか?
彼が事件前からしきりに立ち回った先は、日野市や小金井市の団地、そして八王子や多磨霊園周辺。
共通する交通機関は京王線、京王バス、である。
ならば彼の勤務先はかなりの確率で、「京王タクシー」と言えるかも知れない。
これを前提に事件の前後を詳細に検証してみる必要がありそうだ。
そこから全く新たな犯人像が浮かんで来る。

犯人は今何処でどうしているのだろう? 存命ならば少なくとも70歳以上の高齢であるはずだ。 人生百年の時代を迎え、存命どころかピンピンしているのではないか。 と、私はそう思っている。
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