多摩の名水を訪ねて 第1回 小金井貫井神社

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多摩地域には国分寺崖線に代表されるような、
古代の河川浸食によって形成された武蔵野台地が有り、
その崖下から滾々と湧き出る泉は、東京の名水として、
遠方から水を汲みに来る人も沢山居られるようです。
しかし現地で調査をしていると、誠に残念な事ですが
その名水にも現代特有のある問題が発生している事を
知る結果となったのです。



貫井神社

小金井市 貫井神社
聞こえるのは風の音、癒しの空間だ。

貫井プール記念碑

貫井プール記念碑
大正12年、総工費1300円、町の誇りだった。

貫井プール

昭和46年 国土地理院
在りし日の「貫井プール」、周辺には幾つかの湧水

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超贅沢な ”名水プール”

小金井市の貫井神社は、そこから湧き出る水から「小金井」という地名の元となった場所です。
神社入口に「貫井プール記念碑」という石板が建てられています。
プールの記念碑というのは全国的にも珍しいのではないでしょうか?
碑文によると、大正12年に造られたそうですから、なるほど記念すべき事業であったようです。
昭和46年の航空写真を見ると、確かにありました。
小金井第4小学校のプールと比べても随分大きくて立派なものです。
長さ50m、幅16m、深さ1.6m、そこに貫井神社の「名水」を満たしていたというのですから、
なんという贅沢なプールだったのでしょうか。
周囲を観ますと東京経済大学構内の「新次郎池」や、滄浪泉園(そうろうせんえん)緑地の池も見え、
なるほど「ハケ下湧水群」とはこのことか、と納得がゆきますね。

貫井神社

暗がりの奥、崖線の下から沸くき出す泉、なんとも涼しげな光景だ

貫井神社 湧水

「飲めない名水」の意味するところは?

もう枯れたと思え!!

さて、冒頭に書いた「現代特有の問題」についてですが、
この名水を求めて神社を訪れる人は後を絶たず、
中にはここの水でコーヒーを入れて喫茶店で出しているところもあるとか。
しかし神社の管理人さんはこう言います。
「普通にお参りをする人以外、もう誰も来ないで欲しい」。
詳しく話を訊いてみると、わいわいガヤガヤと集団で訪れては、
水を汲むだけではなく、石は倒すはゴミは散らかすは・・・。
挙句の果ては、「名水というから飲んだのに、腹を壊した」などと、
クレームを付けて来た人物がいたらしいのです。
これはもう、子供の頃の躾云々ではなく、明らかに大人になってから身に着けた性質なのでしょう。
「うつ病社会」のウラの顔とでも言うべきものだと思います。
「飲料水には適しません」の看板の意味がお判りになったでしょうか?
「?」という方は、どうか行間を読んでください・・・、としか申し上げようもありません。
管理人さんが最後に呟いたひとことが印象的でした。
「元々プールで使ってた水なんだから、飲めないはずがない」。

貫井プール跡

50mの貫井プールがあった場所
今は駐車場になっている



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