東京に初雪が降りました。
数ある初物の中でも、東京ではあまり歓迎されません。
記録達成のこの雪も、通勤通学の人たちにとって、
寒いばかりでなく、足元を危うくさせる迷惑者。
しかも11月としては、「初めて」と言っていい雪ですから、
色々な面で、準備が整わず不慣れな状況下にあったと、
雪国の人たちから見れば、なんとも滑稽な風景。
それでも、心に余裕を持って眺めれば、
紅葉に雪景色は、またとない風流な景色であったはずです。
記録と記憶に残る今日の雪
今朝午前4時頃に、外の様子を確かめたところ、雨でした。
これはもしかして、「記録的大外れ」かも知れないと、半ば覚悟を決めましたが、
7時過ぎには雪に変わり、瞬く間に周囲の景色は白く染まってゆきました。
昨日の記事でも御紹介した「もみじの木」が今日は上の写真です。
思い出してみれば、東京多摩に住んでこのような光景は確かに記憶していません。
「半世紀に一度」というと、まるで皆既日食のような響きがありますが、
まさに今日はそんな出来事であったのだと改めて思います。
都心部では0cmという、積雪としては最小単位でありながら、
記録が始まった明治8年以来初めてのというのは、やはり凄いことです。
多摩地域では、私の目測ですが10cmには満たないものの、結構積もっていたように思います。
54年振りのこの降雪、ニュースや天気予報では「真冬並みの強い寒気」の影響と説明されています。
具体的には下の図をご覧ください。
今日正午時点の気温分布ですが、左は地上、右は上空約1500mのものです。
まず地上の気温を見ますと、関東の大部分は5℃以下で、多摩西部に0℃の境界線があります。
従って都心では3℃前後、多摩地域では1℃あるかないかといったところでしょう。
上空では、氷点下のラインが大きく伊豆諸島付近まで南下しています。
三宅島のすぐ北側までが、この寒気に覆われていて、
その西側では逆に気温の高い部分が長野県と富山県の県境付近に達しています。
このコントラストは南岸を進んだ低気圧によってもたらされたものです。
前線を伴った低気圧によって進行方向の下層に寒気が引き込まれ、
一方後面では上空に暖気を北上させているのです。
雪がピークを過ぎる頃、たいてい雨に変わるのはこの「暖気移流」という現象によるものです。
今日は最後まで雪のままだった地域が多いようですが、
降雪時にその雪によって引き下ろされた寒気が、地表付近に溜っていたためだと思います。
山梨県の河口湖付近では20cmの積雪が観測されたそうです。
山沿いの地域では、風が山の斜面にぶつかって上昇し、分厚い雪雲になったためでしょう。
思えば今年の1月、沖縄名護で観測史上2度目の雪が確認されました。
このときは39年ぶりでした。
今日の東京はそれを大きく上回る54年ぶり、貴重な一日でした。
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