
三億円事件の五十年 最終回 遠ざかる昭和
自分は悪人であると自覚する人は、どちらかというと善人だ。 厄介なのは、加害者のくせに被害者の顔をして生きている輩だ。 その善人ヅラで、他人だけでなく自分自身をも欺いている連中だ。
多摩で生まれ多摩で育った筆者が多摩の街を綴ります
自分は悪人であると自覚する人は、どちらかというと善人だ。 厄介なのは、加害者のくせに被害者の顔をして生きている輩だ。 その善人ヅラで、他人だけでなく自分自身をも欺いている連中だ。
昭和四十三年十二月十日、午前九時前、篠突く雨。電信柱の陰から、日本信託銀行国分寺支店の様子をじっと覗う男が居た。 銀行の通用口から銀色のジェラルミンケースが運び出されて来た。 犯人の人生で、最も長い一日が始まった。
銀行から金を奪ったところで、誰も悲しむ者などいない。 東芝の社員には少し気の毒だが、数日遅れでもボーナスは必ず支給される筈だ。 まして、銀行員に刃物を突き付けたりなどしない。 芝居を打つのだ、一世一代の大芝居で見事に出し抜いて見せる。
警察は多磨霊園の墓石を片っ端から退かして石室内を調べたのだという。 奪った現金の隠し場所として、最適だという判断からだったのだろうか? では...
犯人は今何処でどうしているのだろう? 存命ならば少なくとも70歳以上の高齢であるはずだ。 人生百年の時代を迎え、存命どころかピンピンしているのではないか。 と、私はそう思っている。
ジェラルミンケースに付着していた泥から、 犯人のアジトは国分寺市恋ヶ窪周辺であると、 徹底したローラー作戦が展開されたが、 警察はその後アジ...
私は犯人の職業を「タクシードライバー」、 とするのが最も妥当な推理と考えている。 しかし当然、タクシードライバーは世間に多数居る、 その一人...
12月10日は「3億円強奪事件」発生の日である。 強奪と言っても、決して強盗ではなかった。 現金を奪うに当たって、暴力に訴えることなく、 脅...
犯人の職業は「タクシードライバー」であった。 とするのが最も賢明な推理だと思う。 「タクシー業務適正化臨時措置法」によって、 タクシー乗務員...
結論を申し上げると、 犯人は「天涯孤独」の人である。 映画「火垂るの墓」を思い出して欲しい、 あのような境遇の子供は沢山居た。 戦争に傷付き...