東京に57ある名水ですが、多摩にあるもののうち、
飲用に適しているものは数少なく、
主として観賞が中心となるものが殆どです。
多摩も大都市東京の一角にあるため、生活排水などの
影響を受けずにいるのは珍しいことなのでしょう。
一方水道インフラが発達するということは、
水が自然からの恵みであるという認識を希薄にします。
湧き水は「天然の水道局」という見方が正しいはずですが。
地名を創った 神様の水
今回は昭島市にあるふたつの「名水」を御紹介します。
ひとつめは昭島市宮沢町の「諏訪神社」。
入り口には「七五三詣で」ののぼりが立ち、
もうそんな季節かと驚き半分で鳥居を潜りました。
すると境内にもうひとつのお宮、「厳島神社」と書かれています。
厳島といえば世界遺産「安芸の宮島」を思い出す方が殆どでしょう。
しかしまてよ、どこかで聞いたような・・・。
瑞穂町の「狭山池」です、
「箱根ヶ崎」の地名の元になったあの池にも「厳島神社」がありました。
説明版に眼を通すと、なるほど弁天信仰の本家本元であったわけですね。
これはもしかして、不明を恥じなければなりませんかね。(^^;
その厳島神社を取り囲むように湧き水が流れています。
そしてその流れは神社本殿の床下へと続いてます、それで解りました。
昭島市宮沢町という地名、ここが由来であったわけです。
境内奥の方には「手水」と書かれた場所があります。
これは「チョーズ」と読みますね、ハイ。(^^;
普通は水桶に柄杓などがある場所ですが、ここには何もありません。
前方にはただの「湧き水の流れ」がそのまま。
境内で「神様の水」に触れても良い場所はここだけです。
七五三ののぼり旗を見て、急に懐かしい思いがしました。
私の時は府中の「大國魂神社」へ連れて行って貰いましたが、
私は「正装」するのが億劫で、七五三はあまり好きではありませんでした。
面倒臭いのではなく、「よそ行き」服のあまりの着心地の悪さに閉口していたのです。
偶然にもそんな思い出と出会った諏訪神社の名水でした。
禅の心はお寺の外に
もうひとつは、昭島市拝島町の「龍津寺」、「りゅうしんじ」と読みます。
ここは曹洞宗の禅寺ですが、有名なのは失礼ながらお寺そのものではなく、
お寺の脇を流れる湧き水です。
静かな住宅街の脇道に沿って流れる湧き水は、
私の想像に反して「立派」と表現するに相応しいものでした。
水量は言うに及ばず、大きな石積で演出された見事な景観に、
ただただ感心してしまいました。
「入館料」を求められても不思議でないような、
大掛かりな土木工事が必要であったはずですが、
住宅街の「普通の道路」が「湧き水のミュージアム」と化しているようで、
素晴らしいの一言です。
池には鴨や鯉がたくさん居ました、綺麗な水だからこそでしょうが、彼らを眺めているだけでも、
軽く小一時間が過ぎてしまいそうです。
この水辺の散歩道は、地元の人達にとってさぞ自慢の「地域資産」であろうと思います。
なお、「龍津寺」の境内の様子はここからでは判りませんし、お寺の入り口も見えません。
お寺の名前が付いた名水ですが、お寺にはありませんのでご注意を。
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