以前から一度訪れてみたいと思っていた所。
「小野路」は東京に在りながら「里山の風景」を残す、
貴重な景観保存地域です。
また古代の鎌倉街道などが複雑に山林へと入り組んで、
単純ですが、いにしえの旅人になったような気分を、
短時間でたっぷりと味わうことが出来る場所です。
人によって作られたという点では、テーマパークも同じですが、
見せるためではなく、生きるために造られた風景には、
癒す力と優しさが、兼ね備っているように思えます。
身近にあった 懐かしい時
小野神社の近くにあるコインパーキングに車を停めて、いざ「小野路散策」に出発しました。
同じ多摩とはいえ、多摩センターまでは所用で頻繁に訪れますが、
多摩丘陵の尾根を越えた「南斜面」へ来ることなど滅多にありません。
「多摩ニュータウン」を皮切りに、昭和の繁栄をところ狭しとビッシリ刻み込んだ「北斜面」とは、
双璧をなすような別世界ぶりが展開されていました。
車を降りた頃から小用をもよおしていたのですが、
いくら「里山」でも何故か「立小便」は憚られる雰囲気で、
いきなり焦りモードに入っていたのですが、
なんと気の利いたことか、万松寺谷戸の入り口辺りに、
「バイオトイレ」なるものが設置されているではありませんか。
「微生物の力で排泄物を分解する」という環境に優しいトイレ、町田市が設置したもので、
この地域の環境保全への力の入れようが伺えます。
万松寺谷戸の景色は、私が望んでいた通りの「のどかな里山」そのものでした。
期待して訪れる場所に限って、なにかしらの「肩透かし感」があるのが普通ですが、
この小野路に限っては裏切りの無い、想像通りの結果をもたらしてくれました。
写真だけ見れば、これが東京の景色であるとは想像がつかないでしょう。
それも奥多摩や五日市のような「深山」ではなく、紛れもない「多摩の原風景」に、
「いやあ、知らなかった」というのが本音でもあります。
万松寺さんから林の中の小路に入ると、「小野路の六地蔵」に出会えます。
ここがかつての古道であったことの証左であり、路が二股に分かれるこの場所は、
行き先を間違えないようにと、お地蔵さんが目印の役割も買って出てくれたのでしょうか。
そこから暫く「急登」が続きます、いや私にとって急登なのであって、
この程度はいにしえの旅人達にとっては当たり前中の当たり前。
解ってはいるのですが、途中でくじけた私はその道を取って返すことにしました。
だらしがないようですが、他にも是非行きたい場所があったのです。
下る道の途中で、畑の野焼きが見えました、青白い煙の色が懐かしく、
私が幼い頃の国分寺にも、こんな色の煙があちこちから立ち上っていたものです。
花の咲く頃 もういちど
もし舗装がされていなければ、時代劇のロケにぴったりと思われる畑の中の小路。
これはミカン畑だろうか?
あいにく農作物にはめっきり疎い私は、下手をするとミカンと柚子を見間違える恐れさえありますが、
はっきりと「ミカン色」であることから多分ミカンでしょう。!(^^)!
暖かい場所でなければミカンは育たないと聞いたことがあります、伊豆などでは沢山見かけますが、
こんなところでは意外という他ありません。
同じ多摩でも丘陵の南側なので陽当たりも良く、ミカンが育つのでしょうか?
農業に詳しい方から見れば、なんともお粗末なコメントですが、
こんな私だからこそ「小野路」の景色は「眼」と「心」の両方に染みわたります。
Googleの「鳥瞰図」を観て、来たかった場所がこのミカン畑でした。
思っていたより静かで良い場所でした、Google先生は春に撮影したのでしょうか?
ストビューでは路面に桜の花びらが敷き詰められた様子が、実に良い印象に残っていました。
今度は小野路城やら旧道などについてもう少し勉強して・・・、
また春になったら来てみよう! そう思わせる晩秋の小野路でした。
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