怪談? すってくりょう塚 あきる野

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秋のお彼岸は台風の影響もあって天候が悪く、
父のお墓掃除も満足にできませんでした。
久し振りの晴天を狙って出掛けたのですが、
ここ、西多摩霊園のすぐ隣には、
身の毛もよだつ心霊スポットがあるというので、
ついでにどんな所か、寄ってみることにしました。

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武士の身分にまつわる怨念か

築地本願寺の分院、あきる野本願寺の裏手を入って1分も歩かずに到着しました。
鬱蒼とした森の横、道端に「それ」はありました。
「兄弟塚」と書かれた石柱の背後に、斜めに傾いた石塔のようなものが見えます。
大分古いものの様です。
少し先にもうひとつの石柱と石塔が、これこそまさしく「すってくりょう塚」でした。
「すってくりょう」とは、「剃ってください」の意味だそうです。
どういうことかと云えば、武士の身分は髪型で表されるということです。
これは、時代劇を思い出して戴くと解り易いと思います。
例えば、水戸黄門では黄門様は言うまでも無く、
お供の助さん格さんも本当の身分は水戸家中のお侍ですから、前髪は剃り上げています。
うっかり八兵衛も、あれで光圀公の側用人ですから身分はしっかりしています。
一方、風車の弥七はどうだったでしょう?
元々忍者ですから武家の出身かも知れませんが、
劇中での本職は「泥棒のち蕎麦屋のおやじ」ですから前髪は剃っていませんでしたね。

つまり、昔この地に侍の兄弟が住んでいたのだそうです。
鎌倉に幕府が置かれていた時代の出来事だそうですが、
この兄弟は共に北条氏に仕える武士でしたが、
身分は低く戦でもないかぎり畑作に専念していたようです。
ですから二人とも前髪は剃っていなかったということです。

兄弟塚

まず目につく兄弟塚
奥は深い森

さて、西多摩霊園の入り口向かい側に「福泉寺」というお寺がありますが、
ここの住職が当時ある問題を起こしたのだそうです。
「耕作の人手が足りないので、馬を貸して欲しい」と、
檀家であったこの兄弟の家に頼みに来たのだそうです。
長男の兄は丁度北条氏に召し出されて、鎌倉へ「出張中」だったので、
父親がそれを断ったのだそうです。
しかし、どうしても馬の助けが欲しかった住職は重ねて「馬の貸し出し」を依頼したそうですが、
その時偶然帰宅した弟が、「他ならぬ菩提寺様の頼みなら断れまい」と、
兄の馬を貸し出してしまったのだそうです。
帰宅した長男は、馬の様子がおかしいことに気付き、弟を問い質したところ、
農耕に貸し出されていたことが判り激怒したそうです。
「武士の馬を畑仕事に使うとは、いくら弟でも許せぬ」と刀を抜いてしまったのです。
驚いた弟も刀を抜いて応戦しましたが、何れも下級武士で剣術の腕はたかが知れていたのでしょう。
偶然にも弟の振り下ろした剣が、兄の首筋を斬り下ろしてしまい、兄はその場で絶命。
元来兄想いの弟は絶句して、自分もその場で喉を突き、自害してしまいました。

すってくりょう塚

”すってくりょう” と書かれた石柱と石塔
石積は多摩地域で良くみられるもので、多摩川から運んだ石だろう。

これを聞いて腰を抜かしたのが福泉寺の住職です。
「大変なことをしてしまった」と、慌てて兄弟の弔いに駆けつけました。
元来下級武士であっても、死ねば前髪を剃って埋葬するのが習わしだったのですが、
しかし大慌ての住職は二人の髪を剃るのを忘れて、そのまま森の中へ埋葬してしまったのです。
そのため、夜な夜な地中から、
「剃ってくりょう、剃ってくりょう」と悲痛な呻き声が聞こえる様になったのだそうです。

八雲神社

兄弟ふたつの塚の間にあるお宮
薄暗く不気味である。

風音に混じり地中の呻きが?

それにしてもこの兄弟塚の間にお宮があるのは何故なんでしょう?
「八雲神社」とありますが、本来は八坂神社の流れで祇園信仰のはずなのですが・・・、
良く判りませんが「何かを鎮めるため」に造られたに違いありません。
昼間でも薄気味の悪いこの道を、夜間独りで通行するのはたいそう勇気が要ると思われます。
近所の人たちはどう感じているのでしょうか・・・。
この日は風が強めで、森を抜ける風音に耳を澄ましてみたところ、
いきなり頭上でカラスの鳴き声が・・・。
本当はスマホの録音アプリを起動して・・・、と思っていたのですが、
臆病者の私はすっかり怖気づいてしまいました。(;´・ω・)

すってくりょう塚

茂みに隠されて見づらいが、「すってくりょう」の表記
この地下から聞こえるという。

ところでこの兄弟の名前は、菅生有孝、経久と云います。
ここの地名の由来だった訳ですね。
毎年夏の甲子園出場にもう一息の、「東海大菅生高校」もこのすぐ近くにあります。
高校野球を見る度、この兄弟を思い出しそうです。(^_^;)

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